テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン・シャン・テン・の・スッ・テケ・テン・・・ え〜、あけましておめでとございます。新年早々、ようこそのお運びでございまして、・・・「目出度さも中ぐらいなりおらが春」などともうしますが、世の中、無難に生きていくには中ぐらいなのがよろしいようで。破格の出世をしまして、毎日ゴルフ漬け、接待漬け・・殿様のような生活をしていても、最後は逮捕されて留置所送りじゃあサマになりません。なにごともホドホドがよろしいようでございます。え〜、江戸のお正月でございまして、・・恵方参りをしますと運が開けるともうしまして、その年の大吉の方角にある神社に初詣でをしましたそうで・・・
よたろう 「う〜寒い・・けど、元日の朝ってのは、なんか普段と違うねえ。なんとも目出度えや」 女房 「おまえさん、ぶつぶつ云ってないで、初詣でに行っといで」
よたろう 「う〜、行きますよ。なんでえ、元日早々ガミガミ・・・」
女房 「なにか云ってるんかい?」
よたろう 「いやなにも・・、じゃあ行って来るよっと。
え〜と、今年の恵方はどっちじゃろな・・と?
そうだ、向こうから人が歩いて来る。ちょいと聞いてみるかな・・と。
え〜、もし。ちょいとお尋ねいたしやすが、今年の恵方はどっちでしょあ?
えっ、あっち? へい、どうも恐れ入りやす。
あっちだって。・・では、ぼちぼちと参ろう。テヶテンテンテン・・と。
あらま? 海に出ちゃったよ。しょうがないねえ。どこにも神社は無いけど、
目の前はちょうど初日の出だよ。お詣りしよう、パンパン・・と。
誰だい、あたしの脚をぽんぽん叩くのは?
なんだい? 海亀じゃないの」
海亀 「いかにもわしは海亀だが、あんたは浦島太郎かな?」
よたろう 「浦島太郎は、おいらのご先祖。おいらは、浦島よたろう」
海亀 「そうか。まあ太郎でなくともよたろう」
よたろう 「なにをしゃれてやんでえ」
海亀 「竜宮城に行こうではないか」
よたろう 「おいらはあんたを助けた覚えがないけどな?」
海亀 「乙姫さまのご要望なんでね」
よたろう 「おいらは太郎じゃなくて、よたろうだよ。バレたらまずいんじゃない?」
海亀 「300年も経ってりゃ、面相が変わっても不思議じゃなかろう」
よたろう 「それじゃあ浦島太郎のフェイクだ」
海亀 「ともかく、つれて行かないとわしの立場がない」
よたろう 「バレたらどうする・・?」
海亀 「そのときは、記者会見を開いて謝罪したらよいのだ。いまは謝罪流行りだろ」
よたろう 「トランプみてえな、いいかげんな亀だ」
海亀 「竜宮城はいいところだぞ。いちど見ておいたほうがよい」
よたろう 「そういわれてみると、ちょいと覗いてみたくなるのも人情ってもんだが、
あいにくおいらは泳げねえ・・・」
海亀 「いいから、わしの背中に乗れ」
え〜、むりやり亀の背中に乗せられまして、やって来ましたのが、おとぎ話で有名な竜宮城。
よたろう 「へえええ・・、うおおおお・・・、これがねえ・・・あの竜宮城」
海亀 「どうだ。実に壮大な宮殿だろ」
よたろう 「ふにょにょにょ・・、ほへほへほへ・・・、ぽによぽにょぽにょ・・・」
海亀 「腰が抜けたのか?」
よたろう 「こここ・・、このこのおおお宮殿に・・・、おとひょめおとひょめ・・・」
海亀 「落ち着けよ。まったく・・しょおがないねえ・・
これから乙姫さまのところへご案内するからな。気をたしかに持てよ」
よたろう 「ううん・・、でえじょうぶでえじょうぶ・・・」
・・・それから、数えきれないくらい沢山の門をくぐり抜け数えきれないくらい沢山の回廊を渡り・・・数えきれない日数がたって、やっと乙姫さまの居る奥の院にたどり着きまして・・・
乙姫 「なつかしや、なつかしや。よく参られたのう・・」
よたろう 「うへえええ・・、どうもどうも・・・、御尊顔を拝したてたてたて・・・」
乙姫 「なにをそのように慌てておじゃる?」
よたろう 「へえええ・・、おいらのような身分の者が・・・、おとひょめ様の前に居るのが
不思議でならねえんで・・・」
乙姫 「そなた、面相が少し変わったかのう・・?」
よたろう 「へえええ・・、三百年たちまして・・・へへい」
乙姫 「さもありなん。歳をとってないところをみると、玉手箱は開けなんだようだのう?」
よたろう 「へえええ・・、玉手箱を開けますと、中からパッと白けむ・・あわわ。
へい、開け忘れやした・・・」
乙姫 「まあよかろう。ひさしぶりで参られたのじゃ。ゆるりと過ごされよ」
・・・さっそく祝宴となりまして、小泉チルドレンの料亭議員も羨(うらや)む宴が繰り広げられます。
よたろう 「あれまあ・・、魚たちが踊ってやす・・・。鯛やひらめの舞い踊りってね♪
あれれ・・!? ずいぶんきらびやかな魚がチラチラ踊ってやすねえ?」
乙姫 「あれは熱帯魚と申して、もともと南海の魚たちじゃが、密輸されたそうじゃ」
よたろう 「へえええ・・、そうなんですかい。高かったんでがしょ?」
乙姫 「恥を申すようじゃが、竜宮城の事務次官がゴルフと宴席の接待漬けで、
あのような高価な買い物をしたのじゃ」
よたろう 「尻尾のところに札(ふだ)がぶら下がってやすが、何んでがしょ?」
乙姫 「あれは鑑賞期限とやらが表示してあるのじゃ」
よたろう 「へえええ・・、鑑賞期限ねえ・・。みんな新しい日付けになってやすねえ」
乙姫 「それは、札を付け替えたのであろう。偽装じゃ偽フェイクじゃ」
よたろう 「えっ!!(ドキッ)・・、偽装ですかい?
竜宮城も大変でやすねえ・・(こちとらの正体もバレないうちに、お暇しなきゃ・・)」
乙姫 「あの熱帯魚たちだって、偽ブランドかも知れぬのじゃ」
よたろう 「へえええ・・、おどろいたねえ・・」
乙姫 「さあ、珍しいお酒があるから飲みやれ。
事務次官が業者から御歳暮でもらった高級ブランデーじゃ」
よたろう 「へえええ・・、コ−キューブラン・・でやすか?事務次官さんはどんなお方で?」
乙姫 「太ったブタみたいなウツボじゃ。今は留置所にぶちこんであるのじゃ。
わらわは賄賂とか横領とか偽装とかは、大嫌いなのじゃ」
よたろう 「うへえええ・・、ごもっともで、ごもっともで・・(汗)」
乙姫 「先日も、魚たちの老後の年金を着服した腹黒官僚タコどもを検挙したばかりなのじゃ」
よたろう 「うへえええ・・、恐れいりやのキシモジンで・・(汗)」
乙姫 「浦島太郎どの、いかがいたしたのじゃ? 顔色がすぐれないが・・?」
よたろう 「うへえええ・・、じつは陸で待ってるカカアが悋気(りんき)の固まりのような女でし
て・・、一日でも外泊したらどんな目にあわされるかわからねえんで・・(汗)」
乙姫 「それも運命じゃ。諦めが肝心じゃ」
よたろう 「ととと・・、とんでもごぜえませんでして・・、
その恐ろしさは計り知れねえんで・・へい・・(汗)」
乙姫 「さようか。では亀に送らせよう」
よたろう 「へえ、さいですか? どうもとんだお手数をおかけしやして・・へい・・(汗)」
乙姫 「お待ち!」
よたろう 「ひえええ・・、なななにか・・?(汗)」
乙姫 「玉手箱じゃ。これを持ってお行き」
よたろう 「ととと・・、とんでもごぜえませんでして・・、
その・・パッと出るなにが・・(まてよ? そうだ、カカアに開けさせよう・・)
へへい、いただきやす、へい・・。」
・・・ほうほうの態で竜宮城を抜け出しまして、
よたろう 「あああああ・・、おどろいた・・・」
海亀 「どうやら偽装がバレずに脱出できたようだな」
よたろう 「まだ安心できねえ・・、陸に戻ったら悋気(りんき)のカカアがグア−ッと待ち構え
てる・・・」
海亀 「なにその心配はいらん。これは初夢じゃ」
お後がよろしいようで
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